2サムエル14.1-17

 他人の命を殺す人は、死刑だと聖書は言います。ところがダビデは自分の息子同士が殺し合うという大問題に対して対処できずにいました。そんなダビデを見て、将軍ヨアブは困っているある母親をダビデのところに相談に行かせます。この訴えは「やらせ」です。子ども同士が喧嘩して片方が殺されてしまった母親、という想定です。この問題は、そのままダビデが抱えている問題と重なります。ダビデがどんな判断をするかを聞くためにこの女が遣わされます。

（4-7節）

テコアの女は、王に話したとき、地にひれ伏し、礼をして言った。「お救いください。王さま。」（…中略…）このはしためには、ふたりの息子がありましたが、ふたりが野原でけんかをして、だれもふたりを仲裁する者がいなかったので、ひとりが相手を打ち殺してしまいました。そのうえ、親族全体がこのはしために詰め寄って、『兄弟を打った者を引き渡せ。あれが殺した兄弟のいのちのために、あれを殺し、この家の世継ぎをも根絶やしにしよう。』と申します。あの人たちは残された私の一つの火種を消して、私の夫の名だけではなく、残りの者までも、この地上に残さないようにするのです。」

一人が殺されただけでなく、生きている方も親戚中から「殺せ」と言われていて、このままだともう一人の後継者も死んでしまい、後継者がいなくなるという相談です。ダビデの答えは明確でした。「その子が殺されないように命令を出そう。」と言いました。

（8-11節）

王は女に言った。「家に帰りなさい。あなたのことで命令を出そう。」（…中略…）王は言った。「あなたに文句を言う者がいるなら、その者を、私のところに連れて来なさい。そうすれば、もう二度とあなたを煩わすことはなくなる。」そこで彼女は言った。「どうか王さま。あなたの神、主に心を留め、血の復讐をする者が殺すことをくり返さず、私の息子を根絶やしにしないようにしてください。」王は言った。「主は生きておられる。あなたの息子の髪の毛一本も決して地に落ちることはない。」

このダビデの判断は、人殺しをした兄弟の罪の重さに触れないままで「犯人を守ろう」と言うものです。

つまり、人殺しの罪を責めることも、責任を取ることも求めない判断でした。とても寛大なように見えますが、聖書が教える罪の代価、罪の責任は全く無視しています。聖書によると人殺しをした人は命を求められます。そして、僕らがどうすることもできない罪の責任を背負って処刑を受けてくださった方はイエス様です。

女はすぐにダビデに言います。あなた息子アブシャロムを国外に追放したままにしてしているから、そのように、彼を責めることなく赦して国内に戻すように計画を立ててください、と。

（13-14節）

女は言った。「あなたはどうして、このような神の民に逆らうようなことを、計られたのですか。王は、先のようなことを語られて、ご自分を罪ある者とされています。王は追放された者を戻しておられません。私たちは、必ず死ぬ者です。私たちは地面にこぼれて、もう集めることのできない水のようなものです。神は死んだ者をよみがえらせてはくださいません。どうか追放されている者を追放されたままにしておかないように、ご計画をお立てください。

ダビデはこの進言に従ってアブシャロムの罪の責任を問わないまま、彼を国内に迎えることにしました。罪をちゃんと指摘してそれを認めて悔い改めることは愛であり助けになります。ところがダビデは息子の罪を指摘しませんでした。愛しつつきちんと叱ってくれるのは神様の愛です。

ダビデも人殺しをしたことがありました。姦淫をして、その夫を殺しました。しかしその時は神様の預言者ナタンが「あなたは主のことばをさげすみ、わたしの目の前に悪を行なったのか。あなたはヘテ人ウリヤを剣で打ち、その妻を自分の妻にした。」（12.9）と罪を指摘しました。それによって、ダビデも罪を認めて悔い改めることができました。（12.13）

神様は罪を指摘してくださいます。聖霊は僕らに罪を認めさせます。そして罪を認めることは喜びと回復に繋がります。

（詩篇 32:5-6） 

私は、自分の罪を、あなたに知らせ、私の咎を隠しませんでした。私は申しました。「私のそむきの罪を主に告白しよう。」すると、あなたは私の罪のとがめを赦されました。それゆえ、聖徒は、みな、あなたに祈ります。

罪を認めないままの解決は解決ではありません。問題を残したままフタをしているだけです。中が腐っているのにペンキを塗ってごまかしているかのようです。

僕らの問題の根底には必ず罪があります。その罪をちゃんと謝りましょう。その罪をちゃんと認めましょう。罪を無視した解決は解決ではありません。罪を放置した和解は和解ではありません。罪は消え去ります。イエス様こそその罪を背負ってくださる唯一の方です。この方に解決できない罪はありません。本当の解決とは、罪をイエス様に告白することです。罪は認めて告白することで赦されます。そして、本当に回復します。

（1ヨハネ 1:8-9）

もし、罪はないと言うなら、私たちは自分を欺いており、真理は私たちのうちにありません。もし、私たちが自分の罪を言い表わすなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、すべての悪から私たちをきよめてくださいます。